【ソウル】韓国は25日、3週間にわたり操業が停止している南北協力事業、開城工業団地の再稼働について北朝鮮に協議を申し入れ、26日正午までに回答がなければ、「重大な措置」を取ると警告した。
韓国は、北朝鮮が申し入れを無視したり拒否したりした場合の具体的措置については明らかにしていないが、工業団地に残っている関係者を全員引き揚げ団地を閉鎖するのではないかとみられている。
韓国統一省の報道官Kim Hyung-seok氏は「北朝鮮がこの提案を拒否すれば、重大な措置を取る以外に道はない」と述べたが、具体的なコメントは避けた。北朝鮮からの回答は25日夕の時点ではない。
工業団地に進出している一部の企業は操業停止がいつまでも続けば破産の恐れがあるとしていることから、韓国政府は何らかの行動を起こす圧力にさら されている。北朝鮮による機械や物資の没収を警戒して、現在団地には200人近い韓国人が残っている。体調不良を訴える人が毎日数人、韓国に戻っている が、団地に再び戻ることは認められていない。
韓国では24日、北朝鮮が4月3日に韓国から団地への越境を禁止して以来、団地に入れなくなった企業に対する税制優遇・金融支援措置の詳細が明らかにされた。北朝鮮は9日には、同団地で働く約5万3000人の労働者を撤退させた。
団地に工場を持つ企業経営者らは、北朝鮮が韓国の提案に応じない場合の韓国政府の計画については聞かされていないとしている。化粧品容器メー カー、Taesong IndustriesのBae Hae-dong社長は「(どうなるのか)政府からは何も聞いていない」と話した。団地で操業して いる123社のほとんどは衣類や家庭用品などを生産する軽工業の企業で、昨年の生産額は4億7000万ドル(約467億円)だった。
韓国は4月11日にも協議を申し入れたが、北朝鮮は、工業団地から毎年入る9000万ドルの資金は同国政権にとって不可欠なものになっているとの 韓国メディアの報道に怒って拒絶した。工業団地の操業停止は、韓国の軍事演習や核実験に対する制裁に反発した北朝鮮の対抗策の一環だ。
米国、韓国、それに同盟諸国は、北朝鮮が少なくとも1基の中距離ミサイルを日本海側に移したとの情報を受けて、同国によるミサイル試射への懸念も抱いている。観測筋は、同国は軍創建記念日の25日にこれを発射するかもしれないとしていたが発射の兆しはない。